Promise ―8――――――――――――――そして、天界での暮らしが始まり・・3日が過ぎた。とりあえず、「遠い天蓬の親戚で、(従兄弟の、又従姉妹の・・)金蝉の秘書、 という立場に収まっている。 ・・・かなり、天蓬があちこちに手を回した・・・と言う話しがあるが、それも内々の話だけであって、 桃花の存在自体、公にならないように配慮されている。 「・・・ですから、貴方の“叔母様”にも言わないで下さいね?」 にっこり微笑みながら天蓬が釘を差した。 「言われるまでもない・・。」 自分の叔母――天界の五大菩薩と呼ばれる“観世音菩薩”・・・高い位の持ち主の くせに、かなりの性格破綻者で有る。 この異常事態を知れば、喜んで引っかき回しに来るだろう。それだけは避けたい。 「それでは僕は、引き続き資料を調べますから。」 天蓬が出ていった後、金蝉は軽くため息をついた。 あの女・・・。 最初に悟空を見たとき、「悟空ちゃん。」と叫んだと聞いた。―――――悟空と。 何故、知っていた?悟空とそっくりな“友達”が居るとか言ってたとか・・。 それに俺達の顔を見た時にも、動揺していたな。一体どういう―――――― そこまで考え込んで、左右に首を振った。 考えてもどうにもならない、判っている。判っているのに・・「金蝉!!」 バンッと勢い良く扉が開かれ、悟空と桃花が飛び込んできた。 「見て見て~金蝉っ!ほらーキレイでしょ~!?」 「お姉ちゃんに教えてもらったんだっ!良くできてるだろー?」 ズボッと金蝉の頭に花冠がかけられた。 「にっ・・似合う~っ!すんごく似合ってるよっ!!」 「うん!すげー似合ってるっ!金蝉キレイだもんなぁ~!」 悟空は本気で。桃花は笑い転げながら・・金蝉の頭に飾られた花冠に喜んでいる。 「てっ・・てめぇら・・。」握り拳を震わせて、 「いい加減にしやがれ~~~っ!!」金蝉がぶち切れた。 「きゃあーっ」「わーっっ」悟空と桃花が逃げていく。 二人の笑い声と足音が遠ざかっていくのを聞いていた金蝉は、忌々しそうに 舌打ちをして、自分の頭から花冠を外したが――――「・・しょうがねぇ。」 窓辺に軽く釘を差し、花冠をかけた。 そして・・・散乱した書類をかき集め――事務仕事に没頭した。 余計な事を考えないように。 考えても、どうしようもない事だから。 「・・・・眠いなぁ。」桃花は呟いた。 悟空と散々、遊んだ後・・・・・・。 時代が繋がっているという桜の木の根本で休憩中なのだ。 悟空はスヤスヤと寝息を立てている。 そのあどけない寝顔に安堵を覚えつつ、悟空の頭を撫でてやる。 柔らかな風が、大地色の髪をかき乱していく・・・。 『抱っこしてあげたいけど・・。』悟空に付けられた枷が許さない。 こんな子供に・・!いくら吉兆の源だからとかって酷すぎる。 桃花は“神”という存在を信じていない。 天界人が、永遠の命を持ってるから・・人間にはない力が有るから・・ 神というのか?では神が年端もいかない子供に、こんな仕打ちをするのか? ――――お笑いぐさだ―――― 「・・ったく、ふざけんじゃねぇっての。」思わず怒りを声に出してしまう。 「・・・恐い顔してっと嫁に行けねーぞ?」 捲簾が、酒瓶をぶら下げながらやって来た。 ジャンル別一覧
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